海外渡航が頻繁になると、各国でプリペイドSIMを買い替えるのも大変。
今回は、これ1枚あれば世界約60カ国で1日わずか980円のデータ通信が定額利用できるという、
夢のようなローミング専用プリペイドSIMを紹介。このSIMはフィルム形状で、メインとなるSIMに貼り付けるという特殊な仕様。

フィルム状のSIM「KnowRoaming」
カナダのKnowRoamingが発行するローミング専用のプリペイドSIM「KnowRoaming」。
通常のSIMカードと異なり、他のSIMに貼り合わせるようなフィルム状のSIMとなっている。
このフィルムSIMは一部の国でも販売されており、デュアルナンバーサービスを提供する用途にも利用されている。
KnowRoaming SIMは単体では利用できずに、メインで利用するSIMが必要。
SIMは普段自分がスマートフォンで使っているものを利用すればよい。
ただしKnowRoaming SIMを海外で使う場合は、メインのSIMも現地でローミングできる必要がある。
そのためデータ通信が国内線用になるMVNOのSIMでは利用できない。
また利用するスマートフォンはSIMロックがかかっていないことが前提となる。
このフィルムSIMは、メインのSIMにもう1枚のSIMを貼り合わせることで2番号を持たせるという仕組み。
通常は2つの番号を切り替えて排他利用することになるが、追加料金(月額)を払えば2番号で同時待受することも可能。
日本では普段使っているSIMを利用し、
海外に出たときはSIMを入れ替えることなくアプリ上からKnowRoaming SIMに切り替えてそちらを利用するという使い方になる。
アプリはiOSとAndroidに対応。
メインのSIMに極薄とはいえフィルム状のSIMを貼り合わせるため、
SIMをスライドさせて挿入するスロット式式の端末ではSIMが若干入りにくくなる。
長期テストした結果を記事の最後にまとめているが、スロット式のトレイに何十回もSIMを出し入れすると、
フィルムSIMが認識しなくなってしまった。KnowRoamingのSIMを貼り合わせたSIMは、
頻繁に抜き差しはしないほうがいいかもしれない。
KnowRoamingで利用できるエリアは約200カ国。そのうちデータ通信を定額で利用できるのは56カ国だ。
データ通信料金は現地時間で1日7.99ドル、約980円である(執筆時点)。
国によっては現地のプリペイドSIMのほうが安価なケースもあるが、現地でプリペイドSIMを買う手間が不要な点は便利だ。
また日本のSIMを海外で使うと最大約3000円/日かかるが、KnowRoamingなら3分の1の約1000円で済むメリットも大きい。
なお接続速度は3Gまたは2Gで、現時点では高速なLTE回線は利用できない。
KnowRoamingは現在同社のWebサイトでオンライン販売されている。価格は29.99ドル。
日本への送料は5ドル。
この金額はSIM代金そのものであり通信料は含まれていない。
なお同社は頻繁にキャンペーンを行っており、10ドルや15ドルなどの無料利用分がもらえることもある。
SIMにフィルムを貼る
フィルム状のSIMをどうやって貼り付けるのか、
そのあたりはパッケージ内の治具にフィルムSIMがあらかじめセットされているので思ったよりも簡単にできる。
KnowRoamingのパッケージから中身を取り出したら付属のマニュアルはしっかりと熟読しておこう。
マニュアル以外にはフィルムSIMがセットされた治具、そこからSIM粘着用の白い治具(必要に応じて利用)、SIMピンが入っている。
用意するSIMは、海外でも利用できるSIMを使う。通常は普段自分がスマートフォンに入れているSIMを利用すればよいだろう。
KnowRoamingのフィルムSIMを貼った状態でも、普段使っているSIMを普段と変わりなく使い続けることができる。
なお最初に書いたようにこのSIMは海外で通信できるものではなくてはならないため、国際ローミングできるものを利用する必要がある。
海外発行のプリペイドSIMにKnowRoamingのフィルムSIMを貼ってもいいが、
そのプリペイドSIMの有効期限が切れてしまえばKnowRoamingのSIMも使えなくなってしまうから注意が必要。
KnowRoamingの治具を見ると、薄い青いプラスチックの治具がもう1つ取り付けられている。
これはNano SIMを使う場合のもの。
Nano SIMにKnowRoamingのフィルムSIMを貼り付ける場合はこのまま利用すればよい。
Micro SIMの場合は、この薄い青のプラスチック治具は取り外す。
Micro SIMサイズの穴が開いた状態になる。
この状態で、濃い青い治具の中に端子側を下にしてMicro SIMを入れる。
中に見えるのはKnowRoamingのフィルムSIMで、粘着面が上を向いている。
つまりここにMicro SIMを入れることでフィルムSIMを貼り合わせることができる。
Micro SIMを入れた後は、ちょっと強めに指先でSIMを押してしっかりと粘着させよう。
なおこの際にパッケージ内の白い治具を使ってSIMをしっかりと押す。
20秒ほど強く押せば粘着する。その後で治具全体を裏返す。
するとMicro SIMもシールに貼り付いた状態で治具から外れていく。最後にMicro SIMだけをシールからはがせば、
無事KnowRoamingのフィルムSIMが貼り付けられた状態となる。
Micro SIMを側面から見るとわずかに厚みが増しているものの、極端に厚くはなっていない。
そのためこのままスマートフォンのSIMスロットに入れることができる。
乱雑に扱うとフィルムSIMがはがれてしまう恐れがある。スライド式のSIMスロットに入れる際は、注意深くゆっくりと押し込んでいこう。
端末によっては途中で引っかかってしまうことがあるかもしれないが、
その場合は無理に押し込まずにその端末では利用しない方が賢明だ。
アプリを使ってチャージとローミング設定
SIMを入れた後はスマートフォンの電源を入れ、KnowRoamingのアプリもダウンロードして入れておく。
次にKnowRoamingのユーザー登録をするためにWi-Fiをオンにしてネットに接続。
KnowRoamingはPCを使っての操作はできず、登録や料金チャージ、残高確認などはすべてこのアプリ経由で行う。
ユーザー登録はアプリを起動し「Register」をクリック、その後は画面に従って情報を入力していく。
必要なのはフィルムSIMを貼り付けたメインのSIMの国の選択と電話番号、氏名、メールアドレス、パスワードの設定。
無事登録が終われば、残高がゼロなのでトップ画面の「Let’s Go」をタップして料金の追加へと進む。
アプリ内では英国と米国の電話番号を毎月持つための月額プランも用意されているが、通常は必要ない。
7.99ドル/日のデータ定額プランを利用するだけだろうから、ここではそのための料金を追加する。なお最低入金額は25ドル。
ちなみにこのアプリの出来が悪いようで、いったん入金作業を中止してトップ画面に戻り、
残高がゼロであることを表示させてから「Reload」をタップして再び料金を追加する画面を開いた。
25ドルを選んでクレジットカード情報を入力。購入が完了しトップ画面を開くと残高が50ドルになっているではないか!
なんと最初の25ドルが保留された状態になっていたようで、25ドルを2回分買ったことになってしまったのだ。
購入画面を開いて料金を押したら、そこで中断せずにそのまま購入すべきなのだろうか。アプリのバージョンアップで改善を望みたい。
これで料金も追加され、あとは海外で利用するだけとなった。なおここまでの作業はスマートフォンがネットに接続している必要がある。
そのため海外渡航前に作業を行っておいた方がよい。
ところでこの状態でアプリの画面の右上を見ると「KnowRoaming SIM」の表示が出ているのにお気づきだろうか。
最初にSIMを入れて電源を入れると、まずは貼り合わせたKnowRoamingのフィルムSIMがオンの状態になっているの。
メインのSIMはこの状態では休止状態となり、現在は使えない状況になっている。
このまま使うとデータ通信もKnowRoamingの料金が適応されてしまいあっという間に残高が無くなってしまうので、
自国で使う場合は普段のSIM、つまり「Home SIM」に切り替える必要がある。
アプリの画面下中央のアイコンをタップすると管理メニューになるので「Manual Switch」をタップしてHome SIMに切りかえる。
切り替わればアプリの右上は「Home SIM」の表示になり、普段のSIMをそのまま使うことができる。
上記の登録作業や料金追加ができないときは、アプリからSIMをHome→KnowRoamingに切りかえればよい。
いずれにせよアプリを立ち上げればどちらのSIMが現在アクティブなのかを見ることができる。
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