各社がし烈な競争を繰り広げる格安SIMサービス。
料金、基本機能から実行速度、サポート体制まで、あらゆる要素を徹底レビュー。
今回取り上げるのは、DMM.comがMVNOとして提供している通信サービス「DMM mobile」。

DMM mobile
DMM mobileは幅広いオンラインサービスを手がけるDMM.comが、MVNOとして提供するモバイル通信サービス。
DMM.comの名前を知っている人は多くても、同社のイメージは人によって大きく違うのではないだろうか。
例えば筆者なら同社が提供している人気ブラウザゲームの「艦隊これくしょん(艦これ)」を思い浮かべる。
最近は同じくオンラインゲームの「刀剣乱舞」も話題。
アイドルやアニメ、映画などの動画配信サービス、電子書籍、さらには同人誌や成人向けコンテンツも扱うから、
デジタルコンテンツの総合サイトといえる。
ほかにDVD、CD、書籍、フィギュアなどのネット通販も手がけ、ファッションや家電などさまざまなモノをレンタルできるサービスも提供。
このレンタルサービスは先日「ドローン」を扱ったことでも注目された。
さらにDMM.com証券が手がける「DMM FX」は店頭FX(外国為替証拠金取引)の取引高で先ごろ世界1位になった。
DMM英会話も同社のサービスだし、DMM.makeでは3Dデータを取り扱い、マーケットやクラウドソーシングの設置、
ロボットの販売までを行っている。
これら個人向けのサービスだけでなく、法人や自治体向けに太陽光発電システムの導入を提案するDMMソーラーまである。
これらの事業に共通しているのは、今まさに需要が伸びている分野であること。
同社のWebサイトでは「時代に合わせた柔軟なサービス展開」と紹介されているが、まさにその通りと思わせる。
となると、急速に普及しているMVNOにDMM.comが目をつけるのも当然。
しかし参入は2014年12月。これから伸びる分野とはいえ、すでにMVNOは乱立状態。
存在感を出すのは難しいかと思いきや、DMM mobileは「業界最安」を掲げ価格競争に持ち込んできた。
現在DMM mobileは「全プラン業界最安値」「業界最多プラン数」をうたい、どのプランでも安く、
他社が追随してくればさらに下げる姿勢。
7月にはさらに1Gバイトのプランの月額料金を660円から630円に下げたほか、
15Gバイト、20Gバイトのプランと、200kbpsの低速プランを追加し、全20プランで業界最安を実現した。
この「業界最安」という手法が、どこまで契約数やユーザーの評価に結びつくのか、注目したいところ。
料金プラン:1Gバイト/月630円のコースをはじめ容量別に9コースを用意
DMM mobileには「データSIMプラン」「通話SIMプラン」があり、どちらも月の通信容量別に7コースを用意している。計14プラン。
さらに最大3枚のSIMで通信量をシェアできる「シェアコース」もあり、こちらは月間通信容量を8Gバイト、10Gバイト、15Gバイト、
20Gバイトから選ぶことができ、データSIMと通話SIMの組み合わせによって計16プランを用意している。
全部で32プランという「業界最多プラン数」の名に恥じぬ対応。
最安は200kbpsのライトプランで、データSIMは月440円、音声SIMは月1140円。
高速通信が可能なSIMは1Gバイト/月630円~20Gバイト/月6090円(いずれもデータSIM)と幅広く、9種類の容量を用意する。
データSIMでは月150円でSMSオプションを付けられる。
シェアコースの場合、最安はデータSIMのみ3枚でシェアできる、8Gバイト/月2140円のプラン。
最も高いのは、通話SIM3枚でシェアできる、20Gバイト/月8190円のプランとなる。
容量の追加は200円/100Mバイト、1000円/500Mバイト、2000円/1000Mバイトだが、
9月末までは、キャンペーン価格として500Mバイトは600円、1000Mバイトは1100円に割り引かれている。
追加容量の有効期限は3カ月。
通話SIMには最低利用期間が12カ月(利用開始月+12カ月)あり、12カ月以内で解約をすると、9000円の解約金がかかる。
SIMロックフリー端末はテザリングが可能だが、ドコモ端末ではテザリングができない。
SIMのサイズは標準、micro、nanoの3種類。シェアコースに申し込めば最大3枚のSIMで通信容量をシェアできる。
ただしシングルコースで月7Gバイト以内のプランなら、月8Gバイト以上のシェアコースに変更することになる。
SIMカードの追加には1枚3000円の手数料が発生する。
通話料金の割引、固定回線とのセット割はないものの、DMMポイントの付与キャンペーンがあるので、
毎月の利用金額の10%がポイント還元される。DMMのコンテンツを利用している人にはうれしい措置。
プラン名 | ライト | 1GB | 2GB | 3GB | 5GB | 7GB | 8GB | 10GB | 15GB | 20GB |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月額料金 | 440円 | 630円 | 770円 | 850円 | 1270円 | 1860円 | 2140円 | 2250円 | 4570円 | 6090円 |
初期費用 | 3000円 | |||||||||
最低利用期間 解約金 |
利用開始月末 なし |
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通信速度 (超過後通信速度) |
200kbps (3日間の通信量が 366Mバイトを超えると、 翌日24時間、速度制限を する場合がある) |
225Mbps (プランの上限超過時は200kbps。200kbps通信時に、3日間の通信量が366Mバイトを超えると、翌日24時間、速度制限をする場合がある) |
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データ通信量 (上限/期間) |
- | 1Gバイト/月 | 2Gバイト/月 | 3Gバイト/月 | 5Gバイト/月 | 7Gバイト/月 | 8Gバイト/月 | 10Gバイト/月 | 15Gバイト/月 | 20Gバイト/月 |
SIMサイズ | 標準 micro nano |
|||||||||
プラン名 | ライト | 1GB | 2GB | 3GB | 5GB | 7GB | 8GB | 10GB | 15GB | 20GB | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月額料金 | 1140円 | 1260円 | 1470円 | 1550円 | 1970円 | 2560円 | 2840円 | 2950円 | 5270円 | 6790円 | |
通話料 | 20円/30秒 | ||||||||||
無料通話分(月間) | なし | ||||||||||
通信速度 (超過後通信速度) |
200kbps (3日間の通信量が 366Mバイトを超えると、 翌日24時間、速度制限を する場合がある) |
225Mbps (プランの上限超過時は200kbps。200kbps通信時に、3日間の通信量が366Mバイトを超えると、翌日24時間、速度制限をする場合がある) |
|||||||||
データ通信量 (上限/期間) |
- | 1Gバイト/月 | 2Gバイト/月 | 3Gバイト/月 | 5Gバイト/月 | 7Gバイト/月 | 8Gバイト/月 | 10Gバイト/月 | 15Gバイト/月 | 20Gバイト/月 | |
SIMサイズ | 標準 micro nano |
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初期費用 | 3000円 | ||||||||||
最低利用期間 解約金 |
12カ月 9000円 |
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高速化/容量追加オプション(価格/容量) | 200円/100Mバイト、1000円/500Mバイト、2000円/1000Mバイト | ||||||||||
MNP転入/転出 | ○/○(3000円) | ||||||||||
音声通話オプション | 転送電話(0円、以下同)、国際ローミング、国際電話、迷惑電話ストップサービス、遠隔操作 | ||||||||||
備考 | 容量シェアのSIMカード追加は3枚まで可能。 | ||||||||||
設定方法
本レビューの評価対象外ではあるが、設定方法を紹介。
SIMカードを入手してから最初に行うのがAPN(アクセスポイントネーム)の設定。
Androidの場合、APNを新規作成し、以下の通りに設定する。
- 名前:任意の名前を入力(例:DMM mobile)
- APN:「dmm.com」を入力(申込みタイミングによってAPN名は異なる)
- ユーザー名:「dmm@dmm.com」を入力
- パスワード:「dmm」を入力
- 認証タイプ:「PAPまたはCHAP」を選択
APNの設定は、Ascend Mate 7の場合、「設定」→「その他」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」からアクセスできる。
ほかのAndroid端末でも似たような流れのはず。
iPhoneの場合はあらかじめWi-Fiに接続し、「APN構成プロファイル」をダウンロードし、インストールする。
ダウンロードページはこちら。詳細は設定マニュアルも参照してほしい。
基本機能
DMM mobileは、高速通信(最大225Mbps)と低速通信(最大200kbps)を、アプリを使ってユーザーが任意で切り替えられる。
ただし短い間隔で連続して切り替えることはできず、その場合は時間を置いて行うよう表示が出る(といっても1分程度待つだけ)。
通信容量が余れば翌月に繰り越せる。また前述したとおり、追加で購入した通信容量は3カ月後まで繰り越せる。
DMM mobileの大きな特徴として「バースト転送」が挙げられる。
これは200kbpsの低速通信時でも、一定の容量だけは高速で通信できるようになる機能のことで、IIJmioで提供されているものと同じ。
もともと200kbpsのライトプランでも、このバースト転送は有効だ。SNSの更新や容量の軽いサイトを閲覧するときなど、
データ容量をそれほど消費しない通信をするときに便利。
DMM mobileでは現在のところ、Wi-Fiスポットは提供されていない。
端末ラインアップと対応機種
DMM mobileは公式サイト内に「端末セット」のページがあり、スマートフォンやモバイルWi-Fiルーターが計10機種が紹介されている。
ただしZen Fone 2は内蔵メモリのRAM別で2Gバイト版と4Gバイト版があるため、実質計9機種といえる。
その場から申し込みが可能で、データSIM、通話SIM、MNPを選択できる(タブレットの場合は、データSIMのみ)。
DMM mobileならではの機種はないものの、「Zen Fone 2」「Ascend Mate 7」という人気機種に加え、
最新の「HUAWEI P8lite」も加わった。
またタブレットは「ASUS MeMO Pad 7」、モバイルWi-FiルーターはNECプラットフォームズ製の「Aterm MR03LN」を選べる。
日本メーカー製の防水対応スマホとして、シャープの「AQUOS SH-M01」も追加された。
スマホ、タブレット、ルーターを幅広く扱っているといえる。
動作確認済みの端末は、DMM mobileのWebサイトで紹介されており、スマホとタブレットのほか、
携帯ゲーム機、ノートPCなどおよそ170機種程度を確認できた。
割賦販売については10機種とも24回払い、あるいは一括払いでも購入できる。
最安は一括2万2000円(24回払いでは999円✕24カ月)のAscend G620S。
販売場所
DMM mobileのSIMカードは、WebサイトであるDMM.com内のDMM mobileのページから申し込む。
実店舗はなく、配送が必要なので申し込んだ当日から使うことは現在のところできない。当然MNPの即日対応も不可。
Webサイト
前述の通り、DMM mobileのWebサイトから申し込む。
利用までの流れは、上記ページの注釈によると本人確認書類等を送り、DMM側で手続きが完了後、SIMの配送に5日程度かかる。
またMNPの場合、手続きの完了からSIMカードの到着までの間、ユーザーの手元にある携帯電話は利用できない。
実店舗
実店舗は用意されていない。新規契約ならともかく、メインのスマホをMNPでDMM mobileにするとなると、1台持ちの人には厳しい。
特に仕事で使っている人にとっては、致命的なデメリットと感じる。
一方であまりケータイを利用しないから最安のDMM mobileにしておこう、と考えている人もいるだろう。
そんな人は数日くらい使えないのは気にしないかもしれない。
サポート体制
DMM mobileへの問い合わせ先は、まず「DMM mobileサポートセンター」があり、365日10時~19時受付となっている。
電話番号は契約前なら0120-381-668、契約者は0120-584-585と分かれている。
問い合わせフォームも会員と非会員では分かれており、会員の場合は専用のログインページがある。
なお、DMM全体のサポートセンターは24時間対応だが、DMM mobileサポートセンターの対応は10時~19時なので、
「電話24時間対応」は0点とした。
端末の修理、交換受付として有料のサービスだが「端末交換オプション」(月350円)がある。
ただし店頭に持ち込む方法ではなく、返送キットを使った宅配のやり取りになるので、その場で対応してくれるわけではない。
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