5月1日から、SIMロック解除の義務化がスタートしました。
SIMロック解除までの今までの流れ
今までは、国内の携帯電話市場は端末と通信回線が一体となった形で提供されていました。
3G時代、ドコモやソフトバンクをメインに、SIMカードの採用が進められていましたが、
端末側にロックをかけることで、一体提供を続けていました。
このSIMロックにメスが入ったのが、2010年。
総務省は「SIMロック解除に関するガイドライン」を策定し、
2011年度に発売される端末からこれが適用されるようになりました。
その当時の理由は、同じ端末を使い続けられないことが、キャリアを移る障壁になっており、
競争を促進するためにはロックがない方が望ましいということ。
スマートフォンの台頭に伴い、各キャリアから発売される端末に差がなくなってきたことも、SIMロック解除への理由のひとつでしょう。
iモード、EZweb、Yahoo!ケータイというように、各キャリアが独自のインターネット機能を作り込んで搭載してきたフィーチャーフォンとは異なり、
スマートフォンの基本的な仕様はキャリアごとに大きな違いはありません。
むしろ、AndroidやiOSといったプラットフォームの差が大きくなりました。
新ガイドラインでの各社の反応
ガイドラインに従い、ドコモは原則として全機種のSIMロックを解除すると発表しました。
現時点までに発売されたiPhone、iPadシリーズ以外の機種が、SIMロックの解除が可能。
手数料は3240円(税込)。
これに対し、ソフトバンクは需要がないことを理由に消極的な姿勢を示していました。
ドコモとは異なり、全機種対応は行いませんでしたが、Android端末の一部でSIMロック解除を実施。
現時点で対応しているのは5機種、富士通やZTE、Huawei製のスマートフォンのみ。
auは、互換性を理由にSIMロックの解除を行っていませんでした。
3Gの方式が異なるため、SIMロックを解除しても他社で使えず、実効性がないため。
ドコモの現行の料金プランは、2年間の継続契約が大前提で簡単には他社に移ることができない。
SIMロック解除の義務化
ガイドラインには、「事業者は、原則として自らが販売した全ての端末についてSIMロック解除に応じるものとする」と明記。
ガイドラインが制定された当初とは通信環境が異なり、現在ではLTEが主流になりつつあります。
総務省の狙い
MVNOの促進です。
MVNOで利用することが前提のSIMフリー端末も徐々に増えているが、やはり新たに端末を買い直すとなると敷居が上がってしまいます。
今使っている端末そのままでMVNOに移れれば、ユーザーの負担が少なくなります。
別の事業者からの乗り換えも多いと考えると、ハードルを下げていくことが重要になります。
MNOからMVNOに乗り換える時に、新しい端末を買わなければいけないとなるとハードルが高くなります。
SIMロック解除が一般化すると、端末の面で事業者の乗り換えのハードルは下げることができます。
ドコモの端末はドコモ系MVNOのSIMカードでも利用でき、テザリングなどを除けば大半の機能が使えます。
au系のMVNOでも同じ。
ドコモの端末を持つユーザーがKDDI系のMVNOに移ろうと思ったら、端末を買い直さなければならない。
この自由度を上げるのが、SIMロックの解除ということですね。
購入日から180日未満の端末は、SIMロックの解除を行えない
ドコモの『180日ルール』の見解。
「少ないポーション(量)だが、一部のユーザーが違法とまでは言えないものの、不正に入手して他社にという転売行為が散見される。悪意のある行為を防止したい観点からそういうものが必要」
auも同様に、180日という期間を設定した理由を「不正防止」としています。
問題点『180日ルール』
これまでのSIMロック解除は、主に海外渡航が多いユーザーに利用されてきました。
例えば、海外渡航を間近に控えたタイミングで機種変更してしまうと、すぐにはSIMロックを外せず、
今までのように現地キャリアのSIMカードを挿して使うことができなくなります。
もともとSIMロック解除を行っていたドコモのユーザーにとって、新制度は改悪と言えますね。
不正防止という観点からも疑問が。
端末を一括で購入し、割賦を組まなければ、そもそも不正は起こりようがない。
逆に割賦で買っても、180日経過すれば残債がある状態でもSIMロックは解除できるわけです。
不正な転売も、6カ月間放置していればできてしまうわけですね。
SIMロックの解除に猶予期間を設けるより、販売方法を見直すほうが先でより抑止力になるのではないでしょうか。
コメントを残す